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「ハートブロッカー」(07年・アメリカ) ダメ男がヌイグルミのおかげで、頼れるヒーローにヘ~ンシンってか!

ハートブロッカー

少年二人の前に、でっかい頭で全身ブルーの人形というかヌイグルミが横たわってる、
不思議っぽいジャケット写真にひかれて、レンタルしてしまった作品でありやんす。

キャッチコピーが「ちょっと変わったスーパーヒーロー」だったから、
てっきり、このブルーのキャラが、正義のために悪と戦う、お子さま向けファンタジーかな?
とも思ったけど、中身は全く違って、
ダメ青年が、ヌイグルミを着たおかげで、ほんの少し、頼れるイイ男になっていく、
ちょいハートウォーミングで、ほんのりグッドな気持ちにさせてくれる映画でありましたわさ。

ろくに仕事も出来ず、すかんぴんで、人生の落ちこぼれ状態の青年サルマンン。
そんな彼が、イラク従軍中の兵士である兄に代わり、
やんちゃ息子二人をかかえ、てんてこ舞いしている義理の姉レスリーを助けるため、彼女の家にやってきた。
でも、子供達の面倒をろくに見ることもできず、
逆に子供から殺したるとにらまれたり、姉の足を引っ張るばかり。
一度はサルマンを追い出そうとしたレスリーだったが、
家計の足しにと、彼女の勤める会社のバイトの仕事を彼のために見つけてきた。
そのバイトとは、会社のシンボル・キャラのヌイグルミを着て、チラシ配りをすることだった…。

シンボル・キャラの名前が、本作の原題にもなっている「KABLUEY(カブルーイ)」。
目も口もないノッペラボウの、まん丸の頭で、無機的というか、実にシンプルこのうえないキャラ。
でもって、配るチラシの色がショッキング・ピンク。
だだっ広い畑の真ん中を通る一直線の道路のそばに、カブルーイがチラシ抱えて立ってる姿は、
どこかお茶目な感じだし、なんかファンタジックっぽいな。

カブルーイ姿で立っていて、
その会社に投資して大損したって中年女から罵倒され、車でひかれそうになったり、
また、若いブルーカラーの男達から、頑張れよとビールをもらったり、
小さなエピソードが綴られていく。
また、カブルーイ・ヌイグルミを気に入った金持ちの奥さんに、
子供達のためのパーティーにぜひ来て欲しいと呼ばれたりもする。
そのパーティに集まった子供達の中には、サルマンを嫌っていたレスリーの息子達もいたけど、
息子が人気のカブルーイ・ヌイグルミから這い出したサルマンを偶然目撃してしまい、
オジサンはヒーローなんだと思って、ころりと態度を変え、なついてしまうっての、なんか微笑ましい。

そして、いろいろあって、いつしかレスリーや子供達とイイ関係を築いていくサルマン。
やがて、兄がイラクから帰ってくることになった。
帰還した兄が、妻や息子達と抱き合っているのを見つめるサルマンは…。

イラク戦争って、アメリカ人にとっては身近とも言える出来事だと思うけど、
残された家族には、どうも生活援助ってなかったみたいで、生活に四苦八苦していたんだなって、
結構リアルな問題も描かれていて、話に現実感がある。
レスリーが、1年以上夫に会えないからと、日々の生活のしんどさと寂しさゆえからか、
会社の上司といけない関係になっていったり、これまたシリアスっぽい。

監督は、主人公サルマンを演じてるスコット・プレンダーガスト。
ネットで調べたら、ステージでのコメディアンやコメディ・ライターなどをしていた人だそうで、
本作が、監督・脚本・主演を一人でこなした、劇場デビュー作。
デビュー作だけに、演出の手際がいまいちやなって思わせる部分もあるけど、
しんどい現実をきっちり取り込みながらも、
おだやかなユーモアと、ほろ苦さを適度にブレンドして、
人なっつこくて、ほっこり優しい気持ちにさせてくれる、味わいのある作品に仕上げていると思う。

個人的に、ホロッとさせられたのが、サルマンが会社に通う時に乗るバス内での
魔法瓶を大事そうに抱えている老人のエピソード。
ある時、それを窓から投げ捨てられてしまい、ガックリ落ち込む老人なんだけど、
数日して老人がバスに乗ったら、いつも座る自分の席に…。
サルマンの心の成長みたいなもんも感じさせ、
それをセリフでなく、映像でさらりと見せるところがニクイわぁ。

ラストじゃ、兄がサルマンに、面倒見てくれてありがとうってなシーンがあるかと思っていたら…。
ここんところの見せ方も、ニクイやんかいさぁ。いかにも映画的で、さりげなく余韻を残しちゃってさぁ。

レスリー役は、TVシリーズ「フレンズ」のリサ・クロドー。
そんなに美人じゃないけど、生活の匂いプンプン、ごく普通の人妻を無理なく演じてる。
驚いたのが、カブルーイを罵倒する中年女に扮した「未知との遭遇」「トッツィー」のテリー・ガーの老け加減。
ぶくぶくに太っていて、しわだらけで、最初誰か全く判らんかったわさ。
役柄のために、わざわざ、特殊メイクで太って見せてるってわけでないみたいだし。
2度目に見て、目の辺りでガーやと、やっと気づいたけど、顔の輪郭がまるで変わってしもてるわ。

この作品、アメリカじゃ、インディーズ系の作品だけど、
封切り時、口コミでそこそこ人気を集めていたらしい。
でもまあ、主役はもちろん他の役者もネームバリューがそんなにあるわけでなく、日本に入ってこなかった。
でもって、2年ちょっと経ってからの日本版DVDリリース。
それも、たいしたPRもされずじまいで、
そのうちレンタル店の棚から人知れず消えていってしまうんやろな。
ちょっと切ないわぁ。

しかし「ちょっと変わったスーパーヒーロー」ってコピー、
確かに、ささやかながら子供達のヒーローにはなったけど、どこがスーパーヒーローやねん!
ほんまに!怒るで、しかし!(横山やすし口調で)でありやんす。

ワーナー・ホーム・ビデオ 2010年7月21日リリース



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ジャンル : 映画

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プロフィール

森晴樹

Author:森晴樹
大阪市東成区大今里生まれ。大阪市内を転々とし、いつのまにか僕が生まれた町、大今里に舞い戻ってきてしまいました。
情報誌、PR誌の編集・原稿執筆を経て、現在はフリーライター。クロスワード他、クイズ製作もこなしとります。趣味は、DVDで映画鑑賞。

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